コーヒーと円安 2014 12 31
日本では、2014年4月1日から、
消費税が5%から8%に引き上げられて、
景気には悪影響があったという話を聞きますが、
今となっては、「たいしたことがない」話になってしまいました。
消費税の増税よりも、
急速に進んだ円安の方が影響が大きいと思います。
かつて、2011年から2012年に、
1ドル75円から80円の時代がありました。
今は、1ドル120円前後です。
たとえば、100ドルの商品は、
かつて、7,500円で買うことができましたが、
今は、12,000円も必要になっています。
具体的な話をすれば、
コーヒーは、典型的な輸入商品です。
さすがに、日本では生産できません。
もし、1ドル75円時代に、
コーヒー1杯を250円で提供していたとすると、
今は、1ドル120円なので、
単純に計算すると、
1杯400円に値上げしないと、採算が取れないでしょう。
コーヒーは、他の商品のように、
容器を小さくしたり、内容量を減らしたりできない商品です。
つまり、コーヒーは、純粋に値上げをしなければならない商品です。
にもかかわらず、店頭では、
コーヒー1杯の値段が、1ドル75円の時代と同じです。
値上げをすれば、「客離れ」が起こるからです。
消費者からすれば、所得が増えていないのに、
「コーヒーだけ値上げするのは、けしからん」となります。
こうなると、コーヒー店の経営は、苦しいものとなります。
人件費を削るか、閉店するか。
一方、日本人の人件費は、大幅に安くなりました。
このようなことを書くと、多くの人は、
「私の時給は、この10年間、800円で、全く変化がない」と言うかもしれません。
しかし、経済に国境がなくなった現在においては、
自分の時給は、ドルで換算する必要があるのです。
つまり、「ドル時給」を考える必要があります。
1ドル75円時代の時給と1ドル120円時代の時給を比較するのです。
さて、1ドル75円時代に、工場の海外移転は、激しいものがありました。
今は、1ドル120円時代です。
どのくらい、工場が国内に戻ってくるか。
外国人にとって、買った商品に「日本製」と書いてあるかは、重要な問題です。
日本にやってきて、日本の商品を買ったのに、
「MADE IN CHINA」と書いてあったら、がっかりでしょう。
特に、中国人は、「日本製」と書いてあるか、気にします。
そういうわけで、海外で、日本ブームが高くなればなるほど、
日本国内で生産する必要があります。
外国人にとっては、手先の器用な日本人が、
時間をかけて、丁寧に作り上げたことが重要なのです。
話は変わりますが、日本の商店街は、不景気です。
これは、商店街にも問題があります。
今から数十年前に、私は、ギリシャのエーゲ海に浮かぶ、
小さな島を訪れたことがあります。
その島で、おみやげ店に入ると、銀細工がありました。
私が銀細工を眺めていると、
店員が「ぜひ買ってくれ」と言うのです。
しかし、私は、現地の通貨をあまり持っていなかったのです。
そのことを話すと、店員は、「日本円でよい」と言うのです。
しかし、私は、不安になったのです。
1万円札を渡して、正確に、お釣りが返ってくるかという不安です。
実際には、お釣りは、日本円で返ってきて、正確でした。
日本の商店街も、このぐらいの営業努力は必要です。